こんにちは!まーくんです!
土木公務員を目指す学生へ
または、土木系民間企業から土木公務員への転職を目指す方へ
「土木公務員ってどんな仕事するの?」「イメージが湧かない」「一日どんなスケジュール?」「一年どんな流れで進むの?」
こういった疑問にお答えします。
この記事を書いている私は、土木公務員歴(県庁)6年です。
土木公務員として年間約40件程度の工事や委託業務を担当してきました。
そんな私ですが、学生時代に就職先を決めるに当たって、土木公務員が実際どんな仕事をしているのかほとんど知らないで受験しました。
もちろん、自分なりに情報を集めたりもしましたが、やはり実際に働いてみないと分からないことの方が多く、学生時代にもっとリアルな現場イメージが湧く情報サイト等があれば良いなと思っていました。
ですので、本記事では土木公務員が実際にどんな仕事をしているのかについて詳細に解説することにより、あなたが土木公務員として働いているイメージが湧くような状態まで持っていけたらいいなと思っています。
それでは、いきましょう!
土木公務員の仕事まとめ
結論から言うと、土木公務員の仕事は、社会資本の整備とその維持管理を行うことです。
話が大きすぎて分からんっていう言葉が聞こえてきそうなので、詳細に解説します。
そもそも社会資本とは、皆さんが安全・安心して快適に生活を送るための社会基盤、例えば道路や上下水道、電力、ガスなどのことを言います。
これらの施設を新たに整備したり、既にできているものを長く使えるように維持したりするための仕事を土木公務員が行っているということです。
主な仕事内容
一般的な土木公務員の主な仕事内容は、予算計画の立案、公共工事の発注、付随する委託業務の発注、書類の確認、施工の段階確認などです。
以下は私の経験から、比重が大きいと思った仕事内容です。
- 設計書の作成
- 工事の進捗確認
- 苦情処理
- 災害対応
これらを解説していきます。
設計書の作成
土木公務員は公共事業の発注者です。
公共工事やそれに付随する委託業務は、入札により請負業者を決定します。
その入札を行うために、工事の図面作成や工事金額、委託業務価格を計算するための積算を行う必要があります。
これらの入札に必要な書類を総称して「設計書」と呼んでおり、土木公務員の仕事の大半はこの「設計書」と呼ばれれる書類を作成することです。
工事に必要な図面作成は、設計コンサルタントが作成しますが、予算や工種によって、発注単位を細かく分けます。
例えば以下のとおりです。
例1)道路の新設工事
全体工事費:4億円
初年度予算:2億円
→全体工事の半分まで工事ができるため、発注用に半分までの図面に編集する。
例2)「土木一式工事」と「とび土工工事」など異種工事が混合している場合
→入札参加資格の関係で、工種が違うと発注単位を分ける必要がある。
→「土木一式工事」用の図面と「とび土工工事」用の図面にそれぞれ分割し編集する。
これらの図面編集は自分たちで行うか、外注したりもします。
図面を編集することにより、工事の内訳の数量も変わってきます。これらの数量計算も自分たちで計算し直して、積算に反映させます。
積算では、積算ソフトを用いて、図面から拾った数量を積み上げていくような感じです。
この積算で算出した工事金額から、入札の最低基準価格を算出し、入札にかけることで請負業者が決定する流れです。
工事の進捗確認
入札で工事請負業者が決定したら、いよいよ工事が始まります。
「工事の進捗確認」は主に2つの要素で構成されています。
- 工事書類の確認
- 現場の段階確認
受注業者は設計書を確認して、工事に必要な資材やリース品を調達すると同時に、発注者に提出する書類を約1ヶ月かけて作成します。
発注者は、受注業者から提出される書類と、自分で作成した「設計書」を照らし合わせながら、書類の確認を行います。
これらの書類確認作業を経て、初めて現場が動き始めます。
現場が動き始めたら、段階毎に発注者が現場の確認を行う必要があります。これらは、工種などによって様々です。
また、現場を進めていく中で図面と相違があることが多々ありますが、そういった時は工事書類で一つ一つ確認しながら作業を進めていく感じです。
現場が完成したら、受注業者は工事書類(出来形管理、品質管理、工事写真など)をまとめて、検査を受けて合格したら完了という流れです。
苦情処理
苦情処理も土木公務員の仕事の一つです。場合によっては一日のほとんどを苦情処理に追われる日もあります。
苦情の大半はだいたい以下の2つが多いです。
- 施工中の現場に対する苦情
- 管理施設に対する苦情
施工中の現場では、様々な苦情がきます。以下私が実際に受けた苦情。
- ダンプトラック運転手のマナーが悪い
- 作業員が立ちションしている
- 道路の片側通行規制により、渋滞がひどいから何とかしろ!
- 重機の音がうるさい
施工中の現場苦情については、受注業者に連絡をし、対応を取ってもらいます。
管理施設に対する苦情も様々です。道路維持の担当をしていた時は毎日2〜3件程度苦情を受けていました。以下私が実際に受けた苦情。
- 道路脇の草刈りを早くしろ!
- 道路の舗装が悪い→家が揺れる、ハンドルを取られるなど
- 道路に動物の死骸がある
- 道路の区画線が消えているから危ない
こういった苦情については、言ってきた方に直接会いに行き、話を聞いてから対処することが多いです。
なお、緊急を要するものについては、各路線の維持管理を担当する業者さんがいますので、その方たちに依頼をかけて対処します。
災害対応
私が務めている県庁では、災害待機班というものがあり、気象警報(大雨警報など)が出た時は、深夜だろうが、休日だろうが事務所に出勤して待機しなければなりません。
待機中は、住民への避難情報発信の基となるデータを収集します。
具体的には、雨量や河川の水位、道路の冠水状況、土砂崩れ発生情報などです。
これらの情報を収集し、発信することが待機中の業務となります。
中には、被害が発生したという情報が入れば、直接現場に向かい、被害状況を把握する必要もあるため、かなり大変な業務です。
また、公共施設が被害を受けた場合、基本的には、国の補助金を使って災害復旧を行います。
国の補助金をもらうためには、「災害査定」というものを受ける必要があります。
この災害査定に必要な書類作成がかなり大変です。
国から来る「災害査定官」という人達に「どういったメカニズムで被災したのか?」「復旧工法はどういった工法なのか?」「工事費はいくらなのか?」こういったことを説明するための資料が必要になります。
災害復旧は早期の復旧が求められるため、時間的余裕もありませんので、膨大な資料を短期間で作成する必要があり、正直きついです。
一件だけなら、なんとかなりますが、これが数十件とかなると、毎日深夜まで残業し、土日もありません。
本庁と出先機関の違い
本庁と出先の違いは、簡単に言うと、本庁が大まかな計画を立てて予算を管理する仕事、出先が予算の執行部隊という感じです。
それぞれについて解説していきます。
本庁の仕事内容
本庁は、その自治体が定めている目標に近づくために、計画を立てます。
例)災害に強いまちづくり
→本庁の各部署毎にそれぞれの計画を立てる。「いつまでに?」「どんな状態?」といった計画。土木系の部署だったら、5年以内に高規格道路の整備、河川の改修、砂防・急傾斜事業の推進させるなど。
これらの計画を実行するために、国や県に対して予算の要望を行い、ついた予算を各出先機関に配布し、これらの予算管理も行います。
また、議会対応も仕事の一つです。議員さんはその地方の代表者ですので、その質問に正確に答える必要があります。いわゆる「議会答弁書」の作成です。
ただ答えれば良いという訳ではなく、「日本語として間違っていないのか?」「関係部署との連携が取れているのか?」「これまでの実績が間違っていないのか?」などいくつもチェックするポイントがあります。
さらに、出先機関で生じた技術的な問題や疑問に対して、答えるという仕事もあります。
ですので、割と事務的な仕事が多く、出先機関のように直接現場に出向いたりすることはありません。
出先機関の仕事内容
本庁から配布された予算を基に、年間の工事発注計画を立て、どんどん予算を執行していくのが出先機関の仕事です。
詳細な仕事内容は前章で紹介していますので、ここでは割愛しますが、目に見えて自分が担当した現場が完成していく姿が分かるので、出先機関の方が楽しいという人が多いです。
やはり、土木公務員といえば出先機関の仕事がメインだと思います。
なお、人事異動では出先か本庁か希望は言えますが、だいたいは「出先→出先→本庁→出先」のような流れで異動することが多いです。
土木公務員の一日の流れ
ここでは、土木公務員の暇な時と忙しい時の一日の流れを紹介していきます。
だいたいこんな流れで一日が流れていくので、参考にしてください。
暇な時
時間 | 業務 |
8:30 | 始業 一日のスケジュール確認、メールチェック |
9:00 | 工事業者さんとの打ち合わせ |
10:00 | 工事書類確認、設計書作成 |
12:00 | 昼休憩 |
13:00 | 工事現場立会 |
15:00 | 設計書作成 |
17:15 | 終業 帰宅 |
暇な時は、だいたいこんな感じで一日が過ぎていきます。
ほぼ定時で帰れる時は一年に何回かはあるはずです。これも配属される部署次第なところはありますが、忙しい部署でも自分次第で早く帰れる時もあります。
忙しい時
時間 | 業務 |
8:30 | 始業 一日のスケジュール確認、メールチェック |
9:00 | 工事業者さんとの打ち合わせ |
10:00 | 工事現場立会 |
12:00 | 昼休憩 |
13:00 | 苦情処理 |
15:00 | 委託業者との打ち合わせ |
17:00 | 本庁との打ち合わせ |
19:00 | 工事書類の確認、本庁からの調査物の整理 |
20:00 | 設計書作成 |
22:00 | 終業 帰宅 |
忙しい時は、だいたいこんな感じで、昼間の時間帯は打ち合わせや現場確認、苦情処理などで時間が過ぎてしまいます。
そのため、書類関係のデスクワークは定時を過ぎてからのスタートとなるため、夜遅くまで仕事する必要がでてきます。
これが毎日続いてくるとけっこうきついです。
土木公務員の一年間の流れ
大まかな一年の流れは下記のとおり。
- 4月〜6月 当初予算箇所付、来年度予算の概算要望、第一四半期の発注
- 7月〜9月 第二四半期の発注、梅雨時期及び台風時期の災害対応
- 10月〜12月 災害査定、来年度予算の修正要望、補正予算の箇所付
- 1月〜3月 補正予算分の発注、年度末工事の締め、引き継ぎ書作成
一年間で一番忙しい時期は、1月〜3月です。それは、年度末の予算締めに当たるためです。
これに補正予算がたっぷりあると、これらの発注も行わないといけないため、一年で一番忙しくなります。
次は、7月〜9月が忙しいです。それは、災害対応と上半期の発注があるためです。
逆に、災害がなければ、通常業務のみとなりますので、だいぶ落ち着いた一年を送ることができます。
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